プロ野球セ・リーグの開幕延期問題からみるサポートの役割

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サポートからはちょっと話題がそれますが、東北地方太平洋沖地震を受けてプロ野球セントラルリーグがごたごたしていました。

http://hochi.yomiuri.co.jp/osaka/baseball/npb/news/20110324-OHO1T00106.htm
http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20110318-749730.html
http://www.asahi.com/sports/update/0324/TKY201103240363.html
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110325ddm035050093000c.html
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2011/03/25/kiji/K20110325000495710.html
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2011/03/24/kiji/K20110324000489250.html
http://www.daily.co.jp/baseball/2011/03/24/0003889077.shtml

リンクをたくさん張りましたが、矛盾している内容などもあるのでその辺を整理して動きを推測すると次のような流れのようです。

当初から開幕延期派だったのは横浜ベイスターズと東京ヤクルトスワローズと中日ドラゴンズ、早期開幕派は読売ジャイアンツと阪神タイガースと広島東洋カープのようです。延期に最も固執していたのはスワローズのようですが、今季は理事長なので当初は調整役に回らざるを得ず、結局延期派は声の大きなジャイアンツとタイガースに押し切られたようです。文部科学省の要請を受けた19日の理事会でもスワローズはパ・リーグと同じ開催日を主張したようですが、他球団がジャイアンツとタイガースに従う形で1カードのみ延期という結論に。文部科学省からの要請を再度受けたことでタイガースが方針転換、ジャイアンツも折れざるを得なくなり、24日の理事会は一応形としては全会一致となっています。

オリックスがブルーウェーブ時代に「がんばろう神戸」で被災者を勇気付けたようにプロ野球が被災者を元気にするのは紛れもない事実です。しかし、阪神淡路大震災は1月17日発生で、開幕はそれから2ヶ月以上経ち、被災者にも少し心の余裕が出た頃でした。今回は3月11日発生ですから阪神淡路の例で見るならば5月くらいにならないと被災者は落ち着かないということです。また、今回は計画停電というあの頃にはなかった大きな問題が発生しています。塩川正十郎元財務大臣はかつて「母屋でおかゆを食って辛抱しているのに、離れで子供がすき焼きを食っている」という答弁をしていましたが、もし決行していたら「東日本のファンが停電を辛抱しているのに野球が電気を食っている」状態になっていたといえると思います。

サポートにおける鉄則のひとつは「お客様の要望は十二分に聴いて冷静に対応すべし」です。お客様の要望はきちんと全て「聴く」ことが重要です。要望をきちんと把握することから全ては始まります。しかし、この「聴く」は本当に聴くだけで別に全てを飲み込んで実現するということではありません。要望を聴いた上で出来る出来ないを冷静に判断して、出来ない場合にはその理由と代替案を用意するのがサポートで重要なフェーズになります。
今回、セ・リーグはまず「聴く」ことが出来ていませんでした。お客様=ファンの要望をまったく聴くことなく、自分たちの論理で話を進めてしまったことが最大の問題です。なにも野球だけが奢っているのではなく、こうしたケースは現実の世界にも多数存在しています。よく読んでいただいている方には、以前このBLOGで指摘したソラノート問題がまさに今回の野球と同じ構図だということに気がついていただけると思います。
お客様の声を聴かないがためにここまで追い込まれてしまったセ・リーグにとって、取りうる手段はパ・リーグとの同時開幕しかありませんでした。これはある意味最悪の結果です。もし、早い段階でお客様であるファンの声を聴いていれば開幕延期ではなく、まったく別の手段が取れていた可能性もあります。例えば3月から4月に掛けてのジャイアンツ・ベイスターズ・スワローズの主催試合は北海道や関西で実施するなどといった調整も可能だったかもしれません。ファンの印象ももっと違ったものだったと思われます。

全てを台無しにしてしまった今回の騒動からもお客様の声を拾い、経営判断に関与できるサポート主担当者の存在が重要であることが判ります。