mixiアプリをめぐるエンジニアとサポートエンジニアの相違点

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mixiの騒動の延長で、mixiアプリが外部からアクセスしたときにmixi内で全体公開している情報へアクセスできる、という設定について、解除の動きが多数出ました。私も技術的な背景を踏まえた上で解除し、マイミクへ解除を薦めています。
それについて、こんな反応を見つけました。

最近のネットデマについて – 最速転職研究会
http://d.hatena.ne.jp/mala/20101206/1291624685

ここにプログラマやシステムエンジニアなど一般的にエンジニアと呼ばれる人々がサポート兼任できない大きな問題点があるので、今回は記事にします。

この記事で書かれていることは、全体公開している情報にAPI経由でアクセスできるようにするのは問題はない、なぜならばmixiアカウントを取れば誰でも簡単にアクセスできる情報であり、非公開の情報にはアクセスできないのだから、ということです。この指摘は非常に正しく、例示されている相手方がgmailのAPIを使用しているケースやTwitterのプロテクトと同レベルであるということも事実です。そこでこの方はこのような記事を書かれたわけですが、これがエンジニアの視点です。確かに”いまは”その指摘は技術的に正しく、何の間違いもありません。それでは、なぜこのような騒ぎになったのでしょう。いまは技術的に正しいとしてもいつ何時その仕様が変わるか判らないという危惧がユーザ側に生まれてしまったことが最大の原因なのです。

今回の騒動では「メールアドレスを入れることでマイミク申請のメールが届く」という仕様が「メールアドレスを入れることでmixi全体に公開されている情報にアクセスできる」という仕様に修正されました。それもデフォルトが許可です。現在は「あなたのマイミクがあなたの利用していないアプリを使用しているとき、そのアプリは全体公開している情報を入手できる」という仕様であってもいつ「マイミクであるなしに関わらず、あなたの利用していないアプリ経由であなたが全体公開している情報を入手可能」へ変化して、さらに最悪の場合は「マイミクであるなしに関わらず、あなたの利用していないアプリ経由であなたがmixiに入力している全ての情報を入手可能」になって、根こそぎ情報を持っていかれるかわからない、そう考えたわけです。そんなバカな、と通常のエンジニアは笑うと思います。しかし、ここまで考える発想が、技術を理解してさらに顧客心理まで踏まえた対応が必要になるサポートエンジニアの分析視点です。

人の心は技術的な正確性だけでは動きません。プログラマが兼任するサポートエンジニアはここが理解できないので「これは現時点で技術的に正しい、よって問題ない」という対応を顧客にとってしまい、さらに大きなトラブルを招くのです。今回の件も同じです。サポートエンジニアが同じ指摘をするのであれば、このような技術的に正しいから問題ないのだ、すぐに信じるのではなくちゃんと情報を入手して自分で判断しろ、という文章を書くことは躊躇われます。怒り・不安・不満の中にいる人の心情というのは技術的な正しさを指摘したところで素直に動きません。技術的に正しい対応をしていれば素直に動くのはコンピュータだけです。サポートエンジニアは技術的な背景や正しさを理解した上で、顧客にとっての最善を考えるエンジニアです。時にはいまは技術的に正しくても将来想定できる最悪の事態を踏まえてあえて現時点の技術的な正しさから外れる対応をすることも必要になります。これがサポートエンジニアをサポートを理解していないエンジニアが兼任できない理由のひとつです。

この記事はエンジニアとしては正しい反応。しかし、サポートエンジニアならば落第。そういう結論になります。