コールセンターにおける電話対応者を一段低く見る風潮が日本にはあります。もしかしたら諸外国でも同じなのかもしれませんが、これは由々しき問題です。もともと電話対応が誰でも出来るとするならば、なぜ電話対応で高い評価をたたき出している企業がある一方、悪評がひどい企業もあるのでしょうか。画一化されたマニュアルどおりにやっていれば問題ないのであれば、これらの評価は同一になるはずです。ところが現実には差が現れています。
電話対応というのは電話における会話だけでお客様の不満を解消しなければならないため、言い回しや話し方、説明の方法などに高度な技術が必要です。一種の職人芸ともいえる状況で、それを理解している企業はコールセンターを外部に出すのではなく、自社内において、責任者をしっかりとした役職に据えています。例えばDELLは宮崎市にカスタマーセンターを擁していますが、クラウドウォッチでも紹介されているようにここは全員正社員で運営されています。ご存知の方もおいでかもしれませんが、当初、DELLのサポート、特に電話対応は大変に評判が悪いものでした。これは当時、中国の大連にセンターがあり、日本語を完全に理解しているわけではない対応者が対応していたため、日本独特の言い回しや説明が出来ず、直接的な表現でお客様を怒らせたり、お客様の表現が理解できずにまったく違う説明をしていたためです。今でも大連のセンターにつながることがあるため、完全な不満解消にいたってはいませんが、一時期に比べてかなり改善されているのは事実です。
こうした対応をしっかりと取れば電話対応者は自社に誇りを持ち、好循環が期待できます。残念ながら、先日書いたサポートエンジニアに対する悪循環と同じように一種の職人技であることを理解している企業が少ないため、電話対応者は自分の仕事に誇りをもてず、対応がいい加減になっていくというのが今の状況です。